☆小説編『Врожденный 』*storyII

「何で俺の名前知ってんだ……!」
あいつは笑みを浮かべるだけで何も答えない。
困ったものだ。雨は止まないし、おかげに変な奴に絡まれるし…
面倒だな〜。いっそのこと逃げようかな。

『逃げれるんならやってみろよ』
「…ッ!?」
何だこいつ…!今俺の考えてることがわかったのか?!
だんだん怖くなってきた俺は、教室のドアを閉め廊下を思いっきり走った。
「ハァハァ…」
下駄箱に着いた俺は息を呑んだ。

『この状況をどうするんだい。』
グラウンドは水浸し…というより海になっていた。
「洪水…!」
『残念だけど、今学校には誰も居ないから。』
「何だと!?っつーか、お前!俺に何の恨みがあってこんなこと」
『"自分で何とか出来るだろ"』
こいつ、正気か。俺に何とか出来るってそんなわけ…
雨はどんどん強くなる一方だ。
「?」
俺はあることに気付いた。
ーこいつ、少しも濡れてない…!!
どういうことだ、こんな洪水になるほどの雨で濡れないなんて…。
["未来は変えられるんだぜ、“必 然 的” にな。"]
あいつの言っていた言葉がふと頭をよぎった。
ー 必然的…?
あいつあの時、必然的って言ったよな。じゃあこの雨って
『遅ぇな、本当にこのガキが仲間なのかよ。。。』
「は?俺は、てめぇなんぞと仲間になった覚えはねーぞ?」

すると突然雨は止んで明るい日差しが差し込んできた。
少女はスッと立ち上がる。
『…なるほど。 ーでも私を止められるほどの力なんてなさそーだな。』
少女は何か言ったようだが、俺には聞こえなかった。

『ま、君でいいや。お願いがあるんだが。聞いてほしい』