☆小説編『Врожденный 』*storyI

「ーで、お前は俺にどうしてほしいんだよ」
「私の力を消してくれれば良いのだ。」
「は…?」

それは数時間前のことだった…。

「やっべ、忘れ物した!悪ぃ、カイ。先行っててくれ」
忘れ物をした俺は教室に戻った。
「えー…と、ぁ!あったあった!」
忘れ物を無事手にすることが出来た俺は教室から出ようとした。
すると、
ザァァァァァァァァァァァア!!!!!!!!!!
激しい雨音と雷鳴が学校中を襲った。
「雨…!おいおい、これのどこが降水確率0%の結果だよ?!」
『それはただの予報にすぎない。未来は変えられるんだぜ、
“必 然 的” にな。』
誰も居ないはずの教室から少女の声が聞こえた。
その声に聞き覚えはなく、まるで雨音のように一瞬で流れていってしまうような鋭い声だった。
「だ、誰だ?!」
『貴様が私を知る必要はない。』
「何だと!!!!!!!」
振り返るとそこには…
長い黒髪を揺らし、机の上に座っている少女の姿があった。
俺が開けたドア以外は全て鍵がかかっている。
当然窓なんて開いているはずがないうえに、ここは2階だ。
「お前…!どこから入った…!」
『は?、こんなところ何処からでも入れるっつーの。まぁ、…「何しにきた」

突然の言葉にあいつは少し驚いているようだった。

『人の話は最後まで聞こうよ、それに初対面の相手にその態度はないんじゃないかなぁ〜?
“不知火 陽葵くん”。』
ふふっ、と不気味に笑うあいつに俺はゾッとした。

「何で俺の名前知ってんだ……!」